知らないでしょう
知らないでしょう 肩にかかる髪を切ったことを
知らないでしょう 今も残るくすり指のあとを
あれからひと月 やっと書ける文字で
あなた宛の手紙を書いて
今 街角のポストに入れました
あの日の小さな もめごとが大きな別れになんて
一枚限りの手紙 とどく街へ行ってみたい
知らないでしょう 枯れて散った植木ばちの花を
知らないでしょう くもる窓に指で書いた名前
いたわり やさしさ すべて消えた今は
かすれた声で あなたを呼べば
あの さよならの後姿を想い出す
くずれた愛が もどる事はないと知っていても
とぎれた夢の 後を追って街へ行ってみたい