ラミネートされた花を言葉の間隙に仕舞って
一昔前の歌が疑いようもなくなんて
魚の魂は水のなかでこそ冴えるように
貴方の腕のなかで眠りたい
はみ出しきった指を内に折り曲げたってもう遅い
期待外れの街に用はない、でも旅費もない
体の外に出て星を一人確かめようとしたって
月の光もないなら誰にも反射しない
未来が半透明で磨られた硝子のようなら
何も写さずにただその奥をおぼろげに透かしてる
意外な超常現象が起こったって
案外まだどうでもいいとも思える不安感さえ許して
吐き出した生煮えのスパゲティ 口に残る小麦味
流した水道水 湯を沸かして昇る水蒸気
アルミのシンクから発つ船の行き先に灯台がなくても
換気扇が回るのなら冷たい外気だけで満ち足りそうで
よく言えば物語になりそうな日々を
敢えて単純に起こす意味も必要も本当はない
青ざめた川の流れを苦く知るなら
少なくとも泥だらけの足を洗いたい
頭の中にしかいない人と時間を長く過ごしても
たかだか数センチだけの高さに立って偉ぶっても
遊ぶように踊るように歌うように疑って歌う
額から次々に落ちる冷えた水に溺れることを
誰も望まずに肌と盆から溢れてしまっている
幼気な夢物語とも呼べないものが
案外まだ輝いてる気がしているほど
日々は鈍く柔く喉を絞める